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信用状(L/C):従来型の安全決済ソリューション(パート 2/6)

信用状(L/C):安全な決済を行うための従来のソリューション

L/Cは、売り手には安全な方法で期日通りの全額支払いを保証し、買い手には売り手が納品し、契約条件を遵守した後に支払われることを保証することで、キャッシュフローを最適化します。また、L/Cはカスタマイズが可能なため、取引業者が新しい市場に進出し、重要な輸入契約を銀行が処理しなければならない国では、特に便利です。

しかし、買い手と売り手の双方にとって、コストがかかるため、その人気は徐々に低下しています。また、急速なデジタル化も一因となって、グローバルな貿易が活発化し、新興市場の輸出業者が許容範囲内の取引慣行に関する知識を深め、支払いを確保するために別の方法を模索するようになりました。

L/Cを取得するのは難しいのでしょうか?

銀行は、買い手の経歴や発注書などの必要書類についてデューデリジェンスを行い、保証された支払いを補償する担保を徴求した後、買い手にL/Cを発行します。ただし、これは購入者の財務状況や銀行との関係によって異なります。ここで、L/Cを大きく2つの種類に分けて、説明します。

  • 取消不能信用状(Irrevocable L/C)は、買い手の支払い義務を銀行が保証することで、信用力リスク(買い手の債務不履行や債務超過のリスク)に対する担保となります。国内市場が主体で、時々、大口の輸出注文を受ける場合や、信用力が不明な新しい買い手との取引を検討している場合などに最適です。

    [L/Cの一覧については、こちらの記事をご覧ください。]

  • 確認信用状(Confirmed L/C)は、買い手の国以外の銀行(通常は輸出業者の国)で支払いが確認されるため、第三国でビジネスを行う場合の信用リスクと政治的リスクの両方に対する担保となります。

    また、リスクが非常に高いと判断される国では、基本的には確認信用状(Confirmed L/C)の形式で支払いの安全性が確保される場合のみ信用保険が適用されます。

しかし、L/Cは取引のたびに取得しなければならないため、時間がかかり煩雑なため、買い手は申請に消極的になってしまいます。

もう一つの課題は、信用力です。財務基盤が弱い、あるいは既存の取引銀行を持たない買い手の場合、L/Cの確保はさらに困難になります。銀行は、支払い義務を補償するための資金の預託を買い手に求め、現金取引による買い手の潜在的な利益を相殺する場合があります。稀にではありますが、銀行が債務不履行や経営破綻に陥るリスクもあります。

最も重要なことは、売り手が買い手にL/C発行を説得できるかどうかは、買い手の必要度と利用できる代替手段によって異なるということです。

コストやコンプライアンスへの影響は?

L/Cにかかる費用はすべて買い手が負担すると思われがちですが、そうではありません。売り手は、受取人の銀行から、一般的な管理・助言、L/Cの修正、資金の移動などのサービスを請求されます。確認信用状(Confirmed L/C)は、買い手と売り手の国で1社ずつの銀行が関与し、請求額の0.1%~2%になるため、コストが高額になる可能性があります。

しかし、取消不能信用状は支払いを絶対的に保証するものではありません。L/Cは厳格なコンプライアンス要件の対象であるため、銀行がL/Cの条件を守ることは周知の事実です。つまり、売り手が取引条件 (有効期限、固定納期、その他の契約マイルストーンなど) を満たしているかどうか、厳しくチェックします。これらの項目に不備や変更がある場合、L/Cの条件修正が複雑になり、追加コストが発生します。

また、L/Cの条件が現地の規制に準拠していることを確認するスタッフや外部の弁護士の雇用、支払いの正確性を保証する上で必要な書類にかかるコストも売り手が負担しなくてはなりません。これを怠ると、取り返しのつかない損失を被る恐れがあります。また、L/C関連の訴訟はコストとリソースを要します。

まとめ

L/Cは、現在も世界中で使用されているものの、テクノロジー主導のグローバル市場には適さないという認識が広がりつつあります。この市場では、企業の与信管理ニーズを最適化するための選択肢が多く、インボイスディスカウント、銀行保証、信用保険などの手段が使用できるからです。詳細については、こちらをご覧になり、スナップショットの比較を参照してください。

当社のブログシリーズでは、これらの信用リスク管理ツールの長所と短所について、詳しく紹介しています。

1/6: 世界中の貿易を牽引する信用リスク管理商品
2/6: 信用状(L/C):安全な決済を行うための従来のソリューション
3/6: インボイスファイナンス(売掛金担保融資):キャッシュフロー管理の代替策
4/6: 銀行保証:高額取引の円滑化とセキュリティの強化
5/6: 信用保険:包括的かつ費用対効果の高いリスク管理ソリューション
6/6: 信用リスク管理:正しいソリューション選びで差が出る

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