銀行保証とは、買い手の債務不履行や支払不能に対する担保として、銀行が発行する金銭的保証のことです。
銀行保証は、主にある程度発展した国や地域で単発の大口取引を確保したい場合や、買い手の信用力に不安がある場合に、賢明な選択となります。買い手から見ると、 銀行保証はサプライヤーへの保証金の代替策として考えられ、特定の取引に使用することも、無制限にしておくこともできるため、双方にある程度の柔軟性をもたらします。
銀行保証には、カテゴリーが2つあります。一つは、無条件のオンデマンド保証で、受取人は適切な要求をするだけで、銀行に保証の履行を求めることができます。買い手が債務不履行であることを証明する必要はありません。もう一つは、銀行に保証の履行を要求する前に、契約違反があったことを銀行に通知する必要があるものです。こちらの方が一般的です。銀行は通常、保証が要求された場合、銀行に返済するのに十分な財務力を持つ企業にのみ保証を提供します。これに該当しない場合、銀行は必ず追加の担保を要求します。それは、銀行に預けられた資金(通常はその時点の金利で利子がつく)か、不動産のような固定資産です。
銀行保証は世界中で利用されており、アラブ首長国連邦などの新興市場の企業では利用率が高く、特にアジアでは、繊維産業、 不動産、インフラ分野で高い人気を誇ります。ただし、複数の買い手が関わるポートフォリオ、複数の国や地域の買い手、政治的リスクの高い市場での使用はおすすめできません。
銀行保証は、新しい市場や不慣れな取引相手とのビジネスを考えている企業にとっては便利です。ただし、その使い方は複雑です。まず、買い手は銀行保証を提供する意思がなければなりませんが、近年、無担保のオープンアカウント条件(掛売買取引)の取引がほとんど常識になっているため、このようなケースは少なくなっています。競争の激しい市場で、売り手が銀行保証を求めると、買い手が取引から手を引く可能性があります。
買い手が銀行保証を提供することを前提に、銀行を説得して保証を提供してもらわなければなりません。これは、買い手の財務健全性や銀行との関係など、さまざまな要因によって異なります。保証対象の金額や買い手の評判にもよるが、銀行保証は、費用がかかることもあります。当然、他に代案がない限り、買い手はこうした費用を負担することには消極的になります。
「下手な書き方の銀行保証は、紙に書かれただけの価値がない」という古い格言もあります。銀行保証に頼っている売り手は、買い手と銀行の両方の管轄区域の現地法に関して知識を持つ法律の専門家から、保証書の作成や保証の執行に関する潜在的な問題について、助言を受けるべきでしょう。また、法律は随時変更されるので、こうした助言も定期的に更新される必要があります。
注意深く有効期限を精査し、取引期間を補償するため、期限延長や新しい保証を検討する必要もあります。また、保証に基づく負担は、買い手からの未払い額を十分補償できる額であることも重要なポイントです。また、稀にではありますが、銀行が経営破綻に陥るリスクもあるため、銀行の信用力や評判も考慮しなければなりません。.さらに、銀行保証は、理論的には無条件で、実績に関連していないにもかかわらず、契約に関する紛争が発生した場合、銀行が支払いに異議を唱える可能性があるため、絶対的に安全なものとは言えません。このリスクは、管轄区域や法律文書によって異なりますが、銀行保証があるにもかかわらず、損失を被ることは決して珍しくありません。管轄区域銀行保証は、最終的には現地の法律に従って銀行の管轄区域内で適用されますが、一部の市場では大きな影響が考えられ、かつ世界中で増加している 政治的リスクから、売り手を守るものではありません。
他のリスク管理ソリューションと同様、銀行保証にはメリットとデメリットがあります。オープンアカウントの取引条件が一般的になりつつあり、ビジネス関係が確立されている場合は特に、信用リスクから身を守るため、取引信用保険のような費用対効果の高い代替手段を利用する企業が増えています。このように、短期的なキャッシュフローの改善、単発の大口契約の確保、ポートフォリオ全体の信用保護など、それぞれの選択肢のメリットを慎重に検討・比較した上で、ニーズに合ったものを選択する必要があります。
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アトラディウス信用保険会社 日本における代表者 - 枝村真義
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