顧客に関する情報
顧客の信用調査は、コストがかかる作業と思われがちです。しかし、買い手が新規顧客であろうと、長年の取引相手であろうと、取引の決断は、人間関係だけでなく、信用リスクに基づく必要があります。この数か月の動向で明らかになりましたが、大手企業でさえ、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)によって、深刻な財政難に陥っています。この数か月の間に、ヴァージン・オーストラリア、カナダの靴小売業者ALDOグループ、香港の衣料品メーカーEspritなどの大手企業が財務的保善措置または倒産を申請しています。
厳しい取引状況を踏まえ、不良債権拡大を避けるため、買い手の信用リスクを把握しておくことが重要です。まず、自社が事業を展開する業界を見通しておくべきです。たとえば、航空業界や観光業界は新型コロナウイルスによる影響が深刻で、回復には時間がかかると見られています。全般的に見ても、業界の業績や市場の経済見通しは、各国の政府政策、消費者心理、サプライチェーンのリスク管理などの多くの要因に左右され、自社の売上やキャッシュフローに影響を及ぼします。
こうした情報の収集や管理は、特に顧客が事業展開する市場が自社と異なる場合は特に難しく、コストもかかります。売掛金の損害保険に加入している企業は、貿易保険の専門家のリソースを活用して、取引先の事業分野や国に関する知見を含め、詳細なリスク評価を把握することができます。
買い手が財政難に陥っていることを示すような顧客行動の変化を指します。注意するべき兆候:
たとえば、請求書発行の45日後ではなく、60日後に支払うなど、通常より支払いに時間がかかっていると感じた場合、機会を見て問題がないか尋ねてみましょう。支払いの遅延は、ソーシャルディスタンスを保った業務運営に伴う問題かもしれませんが、流動性(資金繰り)のリスクを示唆している可能性もあります。
買い手が頻繁に支払い時期の延期を申し出た時は、注意が必要です。取引状況に支障がある場合、顧客からの支払いが遅れることで、サプライヤーへの支払い能力に影響を及ぼす可能性があります。
毎回、同じような量の商品を購入する買い手がほとんどですが、急に注文が増えた場合は、その理由を把握する必要があります。突然、注文が増えた場合は、その理由や最終的な納入先(エンドバイヤー)を注視するようにしてください。
顧客の財務状況が気になった場合は、顧客をサポートする方法に加え、不良債権のリスクを軽減する方法について、話し合いを始めることが重要です。たとえば、期限前(速やかな)支払いと引き換えに、割引、あるいは利息や延滞手数料の凍結を提示する方法があります。同時に、未払いに備えて信用保険に加入する、あるいは信用状(L/C)を使用するなど、安全対策を強化した上で、顧客との取引を行いましょう。顧客が支払わない場合は、債権回収会社に依頼して代金を回収してもらう方法もあります。
新規顧客を獲得し、既存の取引先と長期的な関係を築くことは、企業が成功する上で重要です。しかし、企業と顧客を守るには、顧客の信用リスクを把握し、そのリスクを反映した上で取引方法を調整する以外、有効な方法はありません。
早期にデフォルトリスクを検出する方法を詳しく知りたい場合:
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